いちごの王さまからのメッセージ

8月のメッセージ

みなさん、暑い毎日、元気に頑張っていますか?
王さまは、59年前の8月に“みんなが仲良く助け合って生きていってもらいたい”という願いをこめて、小さな贈り物にカードを添えて贈り合うソーシャルコミュニケーションギフトカードビジネスのサンリオを創業しました。
そして、みんなにメッセージを伝えようと考えて創刊したいちご新聞で、いちごの王さまとして毎号メッセージを書いています。
そんな風に王さまがみんな仲良く助け合ってほしい、と考えるきっかけになったのは74年前の忘れられないあの日のことがあるからです。
それは、今から74年前の1945年、王さまは高等工業学校(現在の大学)の1年生で、日本は第二次世界大戦の最中にありました。前にも書いたことがありますが、王さまは山梨県甲府市で生まれ育ちました。
山梨県は南に富士山、北に八ヶ岳、東には秩父山地、西には南アルプスの山々に囲まれた盆地で、特産物は桃やぶどうの果物という、とてものどかな地域です。王さまは群馬県桐生市の学校に行っていたのですが、その日はちょうど甲府に帰省していて、地元の友だちの家にさくらんぼ採りに行き、夜になって家に戻りました。
1945年7月7日のことです。東の空から爆撃機ボーイング29型機(B29)が飛んできて、突然、焼夷弾をバラバラと落とし始めたのです。空は真っ赤に染まり、恐ろしい爆音とともに頭上に焼夷弾が雨のように降ってきました。木造の住宅に火が付いて、どんどん燃え広がり、あちこちで火の手が上がる中を王さまは小さな妹を背負って、一晩中逃げ回りました。
夜が明けると、火は煙だけになっていましたが、甲府の町は約70%が焼け落ちて、犠牲になって命を落としてしまった人もたくさんいました。王さまは、どうして甲府に爆弾を落とされなければならなかったのか、なぜ甲府の善良な市民たちが家を焼かれて死んでいかなければならなかったのか、分かりませんでしたが、焼け跡を見ながら、悪いことをしていなくても大量の爆弾を落とされて、家も命も奪われてしまう、これが戦争の恐ろしさなのだと思い知らされました。
翌8月、広島と長崎に原子爆弾が落とされ、第二次世界大戦は終戦となりましたが、その後も王さまの心の中から戦争による恐怖の傷跡が消えることはありませんでした。

この経験から、王さまは「戦争だけはあってはならない。お互いに争わずに仲良く助け合って行くことが本当に大切なことだ」と真剣に考えるようになりました。
そして、王さまはこのことをたくさんの人に伝えたくて、今から59年前、1960年8月10日にソーシャルコミュニケーションギフトカードビジネスのサンリオを作りました。
親子、兄弟姉妹、お友だち、世界中のすべての人たちが、みんな仲良く助け合うにはどうしたらいいだろう?戦争や争うことを止める方法はないだろうか?と考えに考えて、このビジネスを作ったのです。
王さまはこれからも争うことの無意味さと戦争の悲惨さを伝えながら、平和の大切さ、仲良く助け合って生きることの素晴らしさを訴え続けていこうと思っています。

今はもう戦争を実際に体験した人は少なくなっていますが、この8月は終戦の月だということをどうか忘れないでください。
このメッセージを読んでくれたみなさんは、過去に起きた悲しい戦争のことをこの機会によく考えてみて、平和な世界を築くために周りの人と仲良く生きていってくれることが、王さまの心からの願いです。

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